君は僕のもの 【続】




「…え、……えっと…」

雑誌をパラパラ捲って必死に考え込む。

愛梨は一つの物を選ぶってことがどうやら苦手らしくて、こうやっていっつも困ったような素振りを見せるから、何か面白い。


「あたし…、ね?」

「うん。」


このくどい性格も早く直して欲しい。

それでついでに決断力の無さも早く直して欲しかったりする。


でも、まぁ…何度も言うように愛梨の場合は“仕方ない”と言えばすぐに終わる。


「その…うんっ!」

「なに」

「嫌だって言わない…?」


雑誌のあるページを開いたまま自分の胸にギュッと抱きしめたままズイズイと俺が座ってる椅子の傍に近寄って来る。


「それは分からないでしょ」

大体、愛梨が先に嫌か嫌じゃないかを聞いてくる時は…約98%くらいの確率で俺の答えが『嫌』な時だったりするから、

間違ってでも言わないなんて…
そんな恐ろしい事は言えないわけで。


「だって…樹は絶対嫌だって言うもんっ」

だったら言うなよ。


と。言いたいところだけどそれは言わないでおく。


「で?」

「嫌だって言わない…?」

「そんなの言ってみなきゃ分かんない」


すると愛梨は『そうだよね、うん。そうだよ!』と、また訳の分からないことを言い出すから…

俺自身がよく分からない。


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