君は僕のもの 【続】




「でね!…美菜はトリュフを作るんだってさ!!」

ニコニコと嬉しそうに微笑みながら愛梨は言うと、『あ、コレコレ!』とココアパウダーと書いてあるのを手に取る。


そしてそれを確認するようにまじましと見つめてから、俺の持つカゴの中に入れた。


「愛梨は何作るの?」

待ってましたと言わんばかりにニヤニヤ、ニタニタ。


…ん?

「ひっみつ~!」

するとすっごく嬉しそうに笑って、俺の腕に自分の腕を絡める。


「近い」

と言ってる俺の言葉なんて聞こえないくらいに愛梨の顔は何度も言うようにニタニタ。

そしてさっきから俺と愛梨のいる意味深な。


“Happy★Valentine!”

ピンクで出来た看板に大きく書かれたこの文字。


よくこの時期になるとこういうコーナーがどこのスーパーでもよく出来るらしい。

愛梨が言ってた。


周りを見れば小学生やら中学生やら高校生みたいな女がちらほら。

男なんて俺とかぐらいしか居ないんじゃない?


「……帰りたい。」

だんだんとこの圧力に押し潰されそうになって小さく声を漏らして言うけど、それでも愛梨は嬉しそうに色んなのを見て回る。


鼻歌なんて歌っちゃって…
そんなに嬉しいの。


「あの人!彼女と来てるのかなぁ……?」

後ろから聞こえた声に嫌な感じ。

チラッと向けば『超ヤバくないっ!?』と意味深な発言。


俺達と同じくらいの女が楽しそうにキャッキャ騒ぐ、…やっぱり女はこういうの好きなんだね。



女って分かんない。

そう思って溜め息を小さくすると、『樹、樹!!』とちょっと離れた所から愛梨がピョンピョン飛び跳ねながら俺を呼ぶ。


……他の人、見てるけど。


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