わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
パリーン、ガシャン!

突然、ガラスが割れたような大きな音がした。
音のした廊下の突き当りを見ると、先ほど回廊から見た民族衣装と同じものを纏った男と竜の国の兵士がもみ合っていた。

な、何?何が起こっているの?
目の前で起こった出来事に訳が分からず足が止まった。

「陛下!お逃げ下さい!」

ラウル様をはじめ護衛たちがクリフ様達を囲み周囲に警戒したところで「きゃあー」とアリアナ様の口から悲鳴が漏れ皆の注目がアリアナ様に集まったところで柱の陰から民族衣装に身を包んだ男たちが刃物を手に飛び出してきた。

ここの廊下は万が一を考えて魔法が使えない細工がしてある。
この先の執務室、会議室などは竜王と側近だけが利用できる領域でそこを出入りするときを暗殺者などから魔法を使った遠隔攻撃で狙われないようにするためだ。

物理的な攻撃から身を守る方が簡単だからと言う理由だそうだが、今回はそれが仇になったようだ。

アリアナ様とお腹のお子様を守ることに一瞬だけど皆の意識がそこに集まってしまい彼らの動きが遅れた。
本当なら魔法で障壁を作ることができる応接間にすぐに彼女を戻すべきだった。

しかし、護衛たちが男たちに剣を向け対抗する。
マルドネス様もアリアナ様とお腹の我が子を守るように立ちはだかり剣を構える。

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