闇の果ては光となりて
身長伸びろ! と願いながらやって来たのは繁華街。
学生や主婦で賑わうそこに、私達は足を踏み入れる。
チラチラ向けられる視線には、もう慣れた。 
コウや光を見て、キャーキャー騒ぐ学生達を尻目に、私達はメイン通りを進む。

「どこのお店見る?」
左側を歩いてた光が顔を覗き込んでくる。
「何を上げればいいのかにもよるよね」
私達3人はまだ何を送るのかを決めかねてるし。
「クロ○ハーツ、見に行こうぜ」
「それは、コウが見たいんだよね」
コウの右手の中指をジロッと見る。
ここのブランドの銀アクセサリーは、結構なお値段するんだよね。
「霧生もクロ○ハーツ好きじゃねぇかよ」
そう返され、確かに霧生もネックレスやピアスはクロ○ハーツだったと思い出す。
「じゃあ、見に行ってみる?」
「おう。最近、新作出たんだよなぁ」
後頭部に組んだ手を当て、ニシシと笑ったコウ。
やっぱり、自分が見たいだけじゃないかと心の中でツッコんだ。
「コウの好きな物を見た後は、僕の好きな物を見に行こうね」
可愛く言っても、光も自分の趣味を優先したいだけなんだよね。
本当、2人共自由人過ぎる。
やれやれと溜め息をついた私は、絶対に悪くない。







「うぉ〜! やべぇ、これかっけぇ」
店に入ってすぐ、ショーケースに陳列された新作に駆け寄ったコウが、興奮気味に声を上げた。
「へぇ、このお店ってこんな風になってるんだ」
プラプラと店内を回りだした光。
取り残された私はどうしろと言うんだろうか。
仕方が無いから、私も霧生に似合いそうな物を物色してみようかな。
バラバラな行動を始めた2人を横目に、ショーケースに飾られた品々を見ていく。
綺麗に磨かれた銀は、鈍い光を放ちながらもその存在感を主張していた。
凝ったデザインの物は、やはり一際お値段がいい。
あまり高い物を送るのは、流石に気が引けるので手頃な価格を探した。
「プレゼントですか?」
メンズのエリアを見ていた私に店員が声を掛けてきた。
「あ、まぁ、そうですね」
顔を上げ曖昧に微笑む。
店員は男性で、クロ○ハーツのアクセサリーを付け、少しヤンチャな感じの人だった。
やっぱりお店の物をつけないといけないんだね。
社員割引とかで買うのかなぁ。
関係ない事を思い浮かべた。
「こちらはこの秋の新作なんですよ。デザインの割には付けるとさりげ無く見えるんですよ」
店員がショーケースから取り出したピアスは、大きからず小さからずの龍を捩ったようなデザインで、中央に青い宝石みたいな物がついていた。

あ、かっこいい。
霧生に似合いそうかも。
ショーケースの上に置かれたそれを、品定めする。
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