闇の果ては光となりて
「光さん、出掛けるんですか?」
霧生達と別れホールに出てくるとワラワラと集まってきたヤンキーズ。
赤青緑、金色に紫なんてのもいた。
体格の良いボーズ頭の人が代表して光に声をかけて来たけど、どう見ても高校生に見えないのは気のせいだろうか。
暴走族って、成人男性がやってるイメージは無かったんだけどなぁ。
「うん。神楽ちゃんの家まで行くんだけど、切込み隊の3名ほど一緒について来てくんないかな? 人選は谷本に任せるね」
小首を傾げ愛らしくお願いする光に、集まったうちの数人は顔を赤く染めていた。
うん···そういう人も居るよね。
これだけ人数がいれば、色んな恋愛があるはずだよ。
「神楽ちゃんの家ですか?」
「そう。荷物持ちをして貰いたいから力持ちがいいなぁ」
「じゃあ、俺と充希(みつき)と長谷川でどうですか?」
ボーズ頭の人、改め谷本さんが、指さしたのは彼に劣らず体格の良い2人。
見上げるほどに身長の高い人達に、最近は皆伸びがいいのだと羨ましくなる。
何を食べたら伸びるのか、今度聞いてみようかな。

「うん、そうだね。じゃあそれで」
3人を見て頷いた光は、私の手を引いて歩き出す。
「あ、よろしくお願いします」
振り返り後ろをついてきてくれる3人にペコリと頭を下げる。
「大丈夫っす」
ニカッと笑ってくれたのは充希と呼ばれた人で、緑色の角刈りで笑うと目が無くなる愛嬌のある感じの人だった。
「神楽ちゃんの家は歩いていける距離? 車出した方がいいかな」
隣に並ぶように歩きそう聞いてきたのは谷本さんで、大きな体格と迫力のある面構えなので隣に来るとかなり迫力があった。
長谷川と呼ばれた人は黒髪で寡黙そうな感じの人で、黙ったまま光の隣を歩いてた。

「ここから、ツーブロック先の大きな信号を渡った先の振興住宅街です」
「じゃあ。歩いていこうよ、天気もいいしさ」
私の言葉にそう言ったのは光。
「あ、うん」
「やった! 神楽ちゃんと手繋ぎデートだ。谷本達は影を薄くしてついてきてね」
そんな殺生な話って···皆納得出来ないよね。
光はマイペース過ぎると思うよ。
「了解っす」
えぇっ! 了解しちゃうんだ?
「皆で話しながら行った方が楽しいんじゃないかな?」
せっかくだし、色々話してみたいし。
集団の中では交流が絶対必須だもん。
それに光が居てくれたら話しやすいし、一人じゃメンバーと話す自信ないよ。
手始めにこの3人と仲良くなりたいな。

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