相思相愛ですがなにか?
**********
「ねえ、雫ちゃん。私って女の魅力がないのかしら?」
私はティーカップを置くとテーブルに置くと、はあっとため息をついた。
藤堂家のお抱えのパティシエが作るスイーツはどれも絶品で、通常時なら喜んでご相伴にあずかるところだが、伊織さんのことで頭がいっぱいで何も受け付けそうにない。
既成事実を作ると意気込んだものの、鉄壁の守りを誇る伊織さんの前ではなすすべなく何の進展もないまま時間だけが過ぎていた。
ここ数日、ひとりで悶々としていた私はつい雫ちゃんに愚痴をこぼしてしまったのだった。
「伊織くん、まさかまだ月子さんに手を出してこないの?」
私が正直に頷くと、雫ちゃんは驚きを隠せないご様子だった。
手を出すどころか、昨日は仕事を理由に一緒にベッドにすら入ろうとしなかった。
同じことが3日続けば誰だってこれが偶然じゃないと気が付く。
雫ちゃんからお茶に招かれたのは、そんな折である。
伊織さんの妹である雫ちゃんに助言を請うべく、私はお茶会の誘いを快諾した次第である。