相思相愛ですがなにか?

(はあ!?)

遅れてくるのは渋滞だって言ったじゃない!!一体何を聞いてたのよ!?

それに、伊織さんが私のことを何とも思ってないなんて百も承知よ。

相応しいとか相応しくないとか。そんなことはどうでもいい。

私が!!伊織さんを!!選んだの!!外野があーだーこうだ五月蠅い!!

知り合いだから手加減してあげようと思っていたが、もう我慢できない。

これでも不届きな輩を懲らしめるために一通りの護身術は会得しているのだ。

身をもって味わうがいいと手首をひねり上げようとした、その時である。

「感心しないな。ひとの婚約者に狼藉を働こうなんて」

VIPルームの扉を跳ね飛ばすように開け放ち、惚れ惚れするようなタイミングで伊織さんが現れたのだった。

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