相思相愛ですがなにか?

「月子さん!!」

藤堂家の屋敷に到着すると、雫ちゃんと藤堂家の使用人の皆さんが総出で出迎えてくれた。

「雫ちゃん、今日からよろしくね!!」

私は駆け寄ってきた雫ちゃんを受け止め、熱烈なハグをした。

「南城月子です。改めて今日からよろしくお願いします」

私は自己紹介して一礼すると、早く馴染みたい一心で使用人ひとりひとりと握手を交わしていった。

「雫、月子ちゃんをゲストルームに案内してくれ」

全員と握手し終えるのを待って、伊織さんが雫ちゃんに部屋の案内を促す。

「あの……それが……」

雫ちゃんは言いにくそうに口を濁らせ、気まずそうに指をモジモジと弄り始めた。

一体何事かと私と伊織さんは思わず互いの顔を見合わせた。

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