極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
まだ会うのは数える程度。それも貴行を抜きにして話すのは初めてのため、やけに緊張してしまう。
おかげで背筋は定規でも入っているかのようにピンと伸び、手も足もきっちりと揃えた。
テーブルに紅茶とケーキが置かれたところでリビングのドアが開き、阿佐美と揃って顔を向ける。
入ってきた人物を見て、陽奈子は心臓が止まる思いがした。
「あら、お姉様、遅いからどうしたのかと思いましたわ」
貴行の亡くなった父親の姉、智子だったのだ。
結婚前の貴行に数々の縁談を持ち込み、ふたりの結婚に好意的ではない智子だ。
リビングに陽奈子がいるのに気づいた智子は、眉を吊り上げて険しい表情を浮かべる。
「こ、こんにちは」
急いで立ち上がって挨拶をしたが、声が震える。
まるで巨大な岩がそこにあるよう。以前と変わらず威圧感の塊だ。
「あなたもいらしてたの?」
「……はい、お邪魔しております」