極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

これまでに陽奈子から、大和になにか言われたとの話はないが、用心するに越したことはないかもしれない。


「注意して見ておくよ」
「そのほうがいいだろうな。俺の手助けが必要になったらいつでも言えよ」


誠は大きくうなずいて、キーボードを打ち始めた。

安西家に対しては、ツキシマ海運で出来うる限りの補償をしている。それは亡くなった航海士の妻も感謝しているくらい多大なものだ。
葬儀のときこそ不満を爆発させたが、五年経った今、息子の大和も納得しているとは思うが……。


「ひとつ報告だ。システムティービズをうちのシステムから徹底させることになった」
「ほぅ? どうしてまた?」


手を止めずに誠が聞き返す。


「誠がうちの専属になればいい」


何人、何十人とエンジニアを集めても、誠ひとりには敵わない。

< 214 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop