極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
これまでに陽奈子から、大和になにか言われたとの話はないが、用心するに越したことはないかもしれない。
「注意して見ておくよ」
「そのほうがいいだろうな。俺の手助けが必要になったらいつでも言えよ」
誠は大きくうなずいて、キーボードを打ち始めた。
安西家に対しては、ツキシマ海運で出来うる限りの補償をしている。それは亡くなった航海士の妻も感謝しているくらい多大なものだ。
葬儀のときこそ不満を爆発させたが、五年経った今、息子の大和も納得しているとは思うが……。
「ひとつ報告だ。システムティービズをうちのシステムから徹底させることになった」
「ほぅ? どうしてまた?」
手を止めずに誠が聞き返す。
「誠がうちの専属になればいい」
何人、何十人とエンジニアを集めても、誠ひとりには敵わない。