悪役令嬢、乙女ゲームを支配する

「急に何? ていうか何でそんな上から目線なのよ?」
「こんなたくさんある中から俺様のシュークリームを選ぶなんていい趣味してんなってことだよバーカ」
「え、キャラ変でもした? いきなり俺様発言? よくいるわよね背は小さいのに俺様ツンデレみたいなキャラって。しかもまぁまぁ人気出るのよ」
「何言ってんだ? ……昨日お前に言われて思っただけだよ。自分の料理を否定してちゃあ、上にはいけないってことに」

 そっぽを向いて少し照れくさそうにするノエル。

「すっげーむかつくしお前に感謝なんてしたくないからお礼は言わねー。だからいつか絶対にお前を見返してやる。俺がこの城のナンバーワンシェフになってやるからな! 見とけよ!」

 ……悪態はついてるけど今までよりノエルが私に出していた嫌悪感がなくなってる気がする。元々ノエルは口が悪いだけで最初からそこまで酷い態度を取るような人じゃなかったけど。

「……それだと私はこれからもノエルのそばにいなきゃいけない、ってこと?」
「はっ!? な、何でそうなんだよ!」
「ナンバーワンシェフにすぐにはなれないじゃない。見とけよってことは少なくともノエルがナンバーワンになるまではそばにいないとでしょ?」
「ち、ちげーよ! 誰がお前なんかと……!」

 顔を真っ赤にするノエルの反応がちょっと可愛く見えてその後もからかい続けていると、私とノエルが楽しそうに会話をしているのが気にくわないのか天敵である青髪が私とノエルの間に割って入ってきた。

「ノエル。こんなところで油を売っている暇があるのか? さっさと持ち場に戻れ」
「ハロルド様……っ! すみません。すぐに――」
「あんたが持ち場に戻りなさいよ。私はこんな美味しいシュークリームを作れるノエルとの今後の二人の未来について語り合ってるとこなの。邪魔しないで」
「――ほう。今後の未来だと? どういうことだノエル」
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