愛を捧ぐフール【完】
「……まあ、俺も俺達と同世代のご令嬢が政略結婚の駒で中年男に嫁がされるのを見るのは、あまり気分がいいものではないしな」

「アルフィオ様……」

「期待するなよ。セウェルス伯爵家とレオーネ男爵家の両家で決められた政略結婚だ。横槍を入れるのはとても難しい」

「はい」


 分かっている。
 一介の侯爵家の嫡男がどうこうできる問題ではない。


「一応父上に相談してみる。……だが、あまり期待はするなよ」

「ありがとうございますっ!」


 勢い込んで頭を下げた俺に、アルフィオ様は苦笑いをしながら、だから、あまり期待はするなと柔らかく俺を諌めた。
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