愛を捧ぐフール【完】
「そう、別れなければならないの。クリストフォロス様の為に」

「エレオノラ様は愛されていらっしゃるんですよ」


 ポツリと漏れた私の呟きを拾った私の侍女がニコニコと楽しそうに笑う。クリストフォロス様と結婚する前からとても仲の良い侍女で、私が病気にかかっても彼女は移る危険性なんかお構い無しに私の看病をしてくれた。


 彼女自身かなり身体が強いらしく、流行病も発症しなかったらしいが。


「随分呑気なのねイオアンナ。そうは言っても私はもう子供を産めないのよ?」

「あらあら。口を尖らして言うなんて、エレオノラ様はまだまだお子様ですねぇ」

「もうっ!私は真剣に言っているのよ!」


 そっぽを向くと、侍女のイオアンナはクスクスと楽しそうに笑う。クリストフォロス様と同い年の17歳の彼女は、当時としてはもう嫁ぎ遅れに近かったが、私の元でずっと働いてくれていた。
< 66 / 285 >

この作品をシェア

pagetop