愛を捧ぐフール【完】
「エレオノラは僕の事ちゃんと好き?」
「はい!」

 自信満々に頷くと、クリストフォロス様は静かに私に問い掛けた。

「理想の王太子様じゃなくて?君は1人の男として、僕を愛してくれる?」
「ええ、勿論です!」

 今更何を聞いているのだろうと思いつつ、私が頷くとクリストフォロス様はすごく泣きそうで、それでもとても幸せそうにくしゃりと微笑む。

 私の左頬を壊れ物を扱うようにそっと包み込んだ彼は、右の頬に軽いキスを落とす。
 彼の顔がこんなに間近に迫った事は初めてで、心臓が痛いくらいに高鳴った。

「君が僕だけを愛してくれる限り、僕も君も愛すし、僕はみんなの理想的な王子でいよう。だからね、君は僕だけを見て、僕だけを愛して、僕だけのエレオノラでいて?」
「はい!ずっとずっとエレオノラはクリストフォロス様を愛しております」
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