アイスクリームと雪景色
(でも、彼女にとっては筋の通った、当たり前の感情なんだ……きっと)

美帆は急に暗い気持ちになる。

『成田美帆という女が嫌い』というルナの感情は、ライバル心以前に、もっと単純で本能的なものだ。とにかく、いけ好かないのだろう。

「嫌な思いしましたよね。ほんとに、スミマセン」 

美帆よりもしょげた様子で詫びる里村。 

彼はルナのことを、美帆から恋人を奪った悪者としてだけではなく、とても厄介な存在として認識していた。

だからルナの存在を無視し、空気のように接したのだ。相手をするにしても、里村らしくない冷淡な口の利き方をして、突き放した。

美帆にこれ以上近づけないように。

でも考えてみると、ルナの言動に不安を感じる美帆にとって、全面的に味方となってくれる彼の頼もしさが嬉しくもあった。

うっとうしいと思うくらいの干渉が、今は力強い。

「私は大丈夫。ありがとう、里村くん」

叱られると思っていたのか、美帆の反応にぱあっと明るい顔になる。いつものことながら本当に分かりやすくて、こちらまで明るくなってしまう。

「私のために、氷川さんのこと、遠ざけてくれたのね」

「い、いえ、あれはその、男……じゃなくって、後輩として当然のことですからっ」

やっぱりそうだ。彼はなにもかも把握している。 
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