アイスクリームと雪景色
素直で単純な笑顔が、なんだかやけに眩しい。

(どうしてだろ。いつもと違う服装のせい? でも、そんなはず……)

不思議なことに、普段の大人びたスーツ姿よりも“男”という感じがする。そわそわして変な気分だった。

「そろそろ行きましょうか。さ、どうぞ乗って下さい成田さん」

里村は助手席のドアを開けてくれた。いつもどおりの仕草にホッとしながら乗り込むと、里村もすぐ運転席に座った。

体格のいい彼と身体が近いためか、美帆は自分がひと回り小さくなったように思える。

「シートベルト、きちんと締めてくださいね」

「あ、うん」

車に乗せてもらうという、これまでにないシチュエーションのせいだろうか。相手のハンドルに身を任せるわけだから主導権を握られた感覚になる。

それに、急に自分の服装が気になってきた。

コートの下に着るのはシンプルな白いセーターにハイネックのカットソー。寒いといけないので厚手のパンツを穿いたのだが、もっさりとして、アクティブなビーンブーツに馴染まない。

(はっきり言って、おばさんっぽい……)


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