アイスクリームと雪景色
「昨夜はちゃんと眠れたの?」
「はい、おかげ様で。ぐっすり朝まで熟睡です」
なるほど、里村は元気いっぱいの様子だ。
電話の後、美帆もすぐに眠ったのだが少しぼうっとしている。同じ睡眠時間でも、身体がしっかりリセットされるのはやはり若さだろうか。
美帆はそんなことを考えつつ、里村の格好を見回した。
今日はいつものスーツ姿ではない。カットソーにノルディック柄のカーディガンを羽織り、デニムパンツを穿いている。フード付ジャケットがよく似合う、23歳の若い男だ。
「どうかしました?」
「あ、ううん、なんでも……その、降ってきたなあと思って」
美帆はそれとなく視線を逸らし、空を見上げた。ちらほらと雪が舞っている。
「夕方から本格的な雪になるみたいですね」
里村が、心配そうな口振りになる。
「道路は大丈夫かな」
「大丈夫よ。本降りが夕方なら、セーフじゃないかしら」
「ですよね。良かった!」