アイスクリームと雪景色
「このあと、アイスクリームの試食会なの。第二グループのメンバー全員で、新製品開発のために研究を始めるのよ。あなたと話してる時間なんてない」

ルナは悔しげに押し黙る。仕事を持ち出されると、この子は弱いようだ。

だけど、それであきらめるくらいなら、ここまで着いて来ない。

「そうですか。なら、明日でもいいですよ。フリータイムってありますよね?」

ルナは日程を把握している。美帆を逃すつもりはなく、とことん絡んでくる。

「それは……」

とっさに言葉が出てこない。フリータイムの予定はまだ決めておらず、メンバーの行動に合わせようと考えていたのだ。

「いいじゃないですかー。少しは付き合ってくださいよー」

美帆が怯むと、ルナはチャンスとばかりに詰め寄ってきた。

温泉の湯を弾く、つるつるの若い素肌に美帆の目は吸い込まれる。可愛くて、きれいで、十分魅力的な女性なのに、どうしてこんな馬鹿げたことに血道を上げるのか。

若さは無限ではないと言ってやりたい。

「明日は、予定があるの。フリータイムはその……みんなで出掛けるから」

「どこへですか?」
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