【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
〇マンション、自室のドア前
ただの悪質な悪戯。そう思いかけていたときだったから、それを見たときのショックは最初の比ではなかった。

華「うそ……」

華はそれきり絶句してしまった。入口ドアには数十枚の紙がびっしりと貼られていた。
文章はどれも同じ。
『早く出ていけ!別れろ!別れろ!」
前回と同じ赤いマジック、怖いほどに強い筆跡。同一人物で間違いないだろう。
愉快犯や悪戯ではない。これは明確に華に向けられたものだった。

華は急き立てらせるように、その紙を剥がしていった。

華(知りたくないとか言ってる場合じゃない。これは光一さんにも、警察にも
連絡しなきゃ……)

すべて剥がし終えてから、華はバッグからスマホを取り出し光一を呼び出した。
前回とは違い、すぐに光一の答える声がした。

光一『もしもし』
華『も、もしもし。光一さん!?』
光一『華、悪いんだけど、いまちょっと取り込み中でさ』
光一はなにかに配慮するように、小声でそう言った。仕事中なんだろうか。
電話を続けたくなさそうであることは華も察したが、こちらも緊急だ。
華は無理やり話を続けようとする。
その時だった。電話の向こう側の声がはっきりと聞こえた。

女『ちょっと、光一ってば。リョウが泣いてるから抱っこしてて』
赤ちゃん『ふぇ~ふぇ~ギャーン』

光一『悪い。すぐかけ直すから』
彼のその言葉を最後まで聞くことなく、華の手からスマホが滑り落ちる。
地面にたたきつけられたスマホから『華?』と呼びかける彼の声が聞こえていた。



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