【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
○悠里の家。客間(和室)

客間に敷かれた布団の上で華がぼんやりしていると、襖が開き悠里が顔をのぞかせた。

悠里「ホットチョコレート、作ってきたよ。一緒に飲まない?」
悠里の持つお盆にはマグカップがふたつ乗っていた。
華「……ありがとう。りりちゃんは大丈夫?」
悠里「うん。最近は夜はぐっすりなのよ。ちょっと前までは30分起きに泣いてたのにね。赤ちゃんって不思議よ」
華「そっか、よかった」
悠里「はい、どうぞ」

差し出されたマグカップを受け取った華は、そのまま口へ運んだ。

優しい甘さに、心がほどけていくようだった。
華「美味しい」
悠里「いま、お酒は置いてないからさ。私もリラックスタイムはこれなのよ」
華「ふふ。お酒大好きだったのに、すっかりいいママになっちゃって」

華(それに比べて、私は……なにやってるんだろう)

華はうつむき、唇を震わせた。そんな華を見た悠里が、よしよしと頭を撫でてくれる。

華「ほんと〜にごめんね。赤ちゃんもいるのに、こんな時間に押しかけて」
悠里「いいの、いいの。親友なんだから、ほんとに困った時は頼ってよ。うちの旦那、出張ばっかりでほとんどいないしさ、好きなだけ泊まっていって」
華「悠里〜」
華は悠里に抱きついた。
悠里「もちろん、タダってわけにはいかないわよ。夕飯作りはあんたの担当ね」
華「もちろん作らせていただきます。朝ごはんも作るからね」
悠里「ついでにお風呂掃除も頼んだ!」

その夜は、たまった鬱憤を悠里にさんざん聞いてもらって、そのおかげか、すんなりと眠りにつくことができた。
一時的ではあるけれど、あの嫌がらせの恐怖も薄れていた。




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