彼女を10日でオトします
 で、時計の針は、9時。

 支度も整っちゃって、そわそわしてる自分が嫌だから、洗濯物畳んでる。例の山積みの。正座して。

 ぱんつ畳んでて気付いた。洗濯物畳むのって、ふわふわした気持ち、落ち着けるのにもってこいなんじゃない?

 一枚一枚、シワのばして、丁寧に折る。気をつけなきゃいけないのは、畳み終わったそれを積み重ねるとき。

 冬物ってかさばるのよねえ、なんて主婦思考になりながら、もう、真剣。
 Tシャツなんか、綿のジェンガよ。倒れちゃったら、一発アウトなんだから。

 全て畳みあげて、空に近い状態の収納ボックスにしまい終えた頃には、もう9時半になっていた。

 うん、もう出よう。

 ちょっと早く着いたって、バチは当たらないわな。


 朝の陽射しって結構強い。
 風は冷たいのは嫌になっちゃうけれど、黒いダウンジャケットの背中がポカポカするのは、なかなかいい気分。

 どこかで野焼きしているのかなあ。風にのった、懐かしい冬の匂いが通り過ぎる。

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