彼女を10日でオトします
 ところが、貴兄は、変態男たちと仲良さそうに話し始めて。なに合コンに誘われてるのよ、お姉ちゃんという可愛い奥さんがいながら。

 うん。ちゃんと断ったから、お姉ちゃんには内緒にしておいてあげよう。貸し1で。私って優しい。

 そんなことを考えていたら、変態男がようやく出て行ったみたい。でも、まだ油断はできない。変態男の友達と貴兄がこそこそと話し声が聞こえる。

 もう一度、ガラガラと扉の音が聞こえたと思ったら、私が寝ているベッドのカーテンが勢いよく開いた。

「授業をサボるなんて悪い子だ」

 どくん。優しい顔で寝ている私を見下ろす貴兄。心臓が爆発しそうになる。

「たかにい……」

 貴兄は、手を引っ張って私を起き上がらせる。

「早く授業にいきなさい。響ちゃん」

 私の名前を呼ぶ声が、身体の中に優しく響く。

「へ、変態男のせいよ……。ひとつ向こうのベッドで変なことしてたから、出るに出られなくなっちゃったのよ……」

「変態男? 変なこと?」

 貴兄は、不思議そうに私の顔を覗きこむ。貴兄のこげ茶色の瞳に長い睫毛が影を落とす。
 私は恥ずかしくなってその瞳から逃げるように視線を外した。

「さっきの……、一番先に出て行った男よ」

 私は、布団の上に重ねた、自分の両手を見ながら吐き捨てるように呟いた。

「ああ。戸部たすく、か」

 
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