彼女を10日でオトします
 キョンは、驚いた面持ちで黒い両目を見開いた。
 
 それでもそれはすぐに消え、俺をきつく睨み上げた。

 いいねぇ。「こっちこないでよ」って、目。あまのじゃくたっしーの大好物よ。

 でも残念。綺麗なメロンフロートは、あのコンタクトのお化けみたいな義眼の下、か。
 
「キョンは、何でそんなに怒ってるの? 俺のこと、嫌い?」
 
 キョンのほっぺを親指で撫でる。ふにふにした感触がきもちいい。
 
「大っ嫌い!」
 
 テキビシー。随分ずばっというじゃない。

 ……まあ、予想はしてたけど。

 キョンは、俺の手をパンっと払うと、勢いよく立ち上がって鞄を抱きしめた。

 あ、いいなぁ。俺、あの鞄になりたい。

 なんて、ふざけたこと考えてたら、キョンは教室の扉に向かって走り出した。
 
 ふうん。追いかけっこね。面白いじゃない。

「なにあれー。たすくが優しくしてあげてんのにぃ。在原さん、最悪だねー」

 キョンがいなくなって、がらんどうになった視界の先で、さくらちゃんが、声を投げかけた。たぶん、俺に向けて。

 なんなんだろうね。同調してほしいのかしら。

 そんなの御免。何故かわからないけど、ふつふつと怒りがわいたきた。
 
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