仮眠室で囁いて

服部ドクター

長い夜があけ、日勤のスタッフが続々と出勤してくる。

引き継ぎを終えればようやく仕事も終わりだ。

昨夜の出来事に私の思考は停止したままでいた。

あのあと、転げるように慌てて仮眠室をでて、服部先生と顔を合わせないように朝を迎えた。

思わずうなずいてしまったが、師長に怒られるほうが数倍ましなのではないかと冷静になればそんな考えにたどりつく。

やっぱり断ろう!服部先生と付き合うなんて冗談じゃない!
そう決意したやさきに、ふいにナースステーションに先生が姿を現した。

まっすぐに私を見据えると

「高橋、引き継ぎ終えたらメシ行って帰って寝るぞ。」

とんでもないことを口にした。
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