仮眠室で囁いて

男はみんな狼です

小児科での勤務も終わり、
着替えに更衣室に向かう前に外科の医局に顔を出した。
目的の人物、服部先生は難しい顔をしてMRI の画像を見ているところだった。

「先生、ちょっといいですか?」
つかつかと先生に近づき、左腕を掴むと、白衣をまくりあげて太い血管の浮き出た腕に触れる。

なでさすりながら
「うん、そう!絶対この血管!」

一人で納得しているとなでさする手を捕まれた。

「……何やってんだお前。
こんなところで俺を襲うきか?
そんな趣味があったのか。
血管フェチか…変態だなお前」

「ちっ違います!!
そんな趣味ありません!!」

真っ赤になる私の顔を楽しそうに覗きこみ、
「じゃあなんだよ。
俺にまた練習だいになれっていうのか?」
とニヤリと笑った。

あぁやっぱり間違いない。
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