ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
「野菜を忘れた?」


「そうなんです。なので少しだけ分けて欲しくて……」


光石さんは私の顔を見つめて、それからちらりと私の横の三神くんを見た。


とくとくと、心拍が心持ち早くなる。


私はそれを誤魔化すように、小分けのお肉を取り出した。


「あの、これつまらないものですが」


同じセリフを唇に乗せれば、ずっと無言だった三神くんが口を開く気配がした。


私は驚いて、三神くんをパッと見上げる。


「ツマラナイモノデスガ」


三神くんは片言にも程があるでしょうというくらい適当に呟くと、私を流し目で見遣った。


片方だけ微かに持ち上がった唇には、得意げな表情が滲んでいて。


今までずっと私の横を黙って着いてきていただけだったのに。


まるで私が緊張しているのを見透かしたみたいに、小さく笑う。


三神くんはす、と私から光石さんに視線を移すと、私からお肉を奪い、差し出した。


「ん」


光石さんは気圧されたようにそれを受け取る。


三神くんが若干強引気味だったのは否めないけれど。
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