オトナだから愛せない
「胡桃……?飯、食わねえの?」
「……」
「胡桃?」
立ち上がって胡桃の隣に座れば、俺の分だけソファが沈んだ。それに合わせて胡桃が俺に凭れかかる形になる。ヤバイな、めちゃくちゃいい匂いするし。
「胡桃……?なぁ、起きろよ」
「……」
俺に体重を預けたままの胡桃はビクともしない。最低な男かもしれない。起きろよなんて声をかけるくせに、本当は起きないでほしいと思ってる。
絡めていない方の指先で胡桃の顔にかかった髪を払った。そのまま頬を撫ぜて顎先に指を添わせる。
「なぁ、胡桃……起きろよ、起きないとこのまま……」
ゆっくり胡桃の顎先を持ち上げて自分の唇を、胡桃のそれに重ねた。いつだって胡桃の唇は柔らかくて、甘い。
寝てる子相手になにしてんだか……。でも、止められない。胡桃の唇を割って、舌先を侵入させる。「ンッーー、」と漏れた胡桃の甘い声音に我に返った俺は唇を離した。
「はぁー、ヤバイ。こんなの知られたら、嫌われるんじゃね、俺……」
「……」
どきどきと鳴る心臓がうるさい。好きな子が隣にいるのになんて酷な状況だろう。背凭れに体を預けてさらにソファを沈めた。胡桃に絡めた指はそのままに。