オトナだから愛せない
と、
「さ、つき、くん……」
「胡桃?」
「……」
小さな胡桃の声音が漏れる。起きたのかと思い顔を覗き込んでみたがどうやらただの寝言らしい。
「さ……つ、き、くん……」
「お前はいったい、どんな夢見てんだ……?」
「……」
「……」
寝ている胡桃が答えるわけもない。心地のいい胡桃の寝息だけが聞こえる空間で俺はゆっくり瞼を閉じた。
「……」
「……」
「……」
「……さつ、きくん……」
「……」
「だい、すき……」
その音が聞こえた時には、もう全身が熱くて、俺の顔は真っ赤だったと思う。再び規則的な寝息が俺の聴覚を支配する。
「はぁー。寝言で名前なんか呼ぶなよ。このまま、」
