オトナだから愛せない

「これから皐月くんとアイスの時間なのに、電話なんてしません!私のいちばんはいつだって皐月くんだもん」
「……」
「皐月くん……?」
なぜか無言になった皐月くん。スマホをテーブルに戻し顔を覗き込めば照れたように顔を赤らめていた。その表情もあいも変わらずイケメンで、どうしようもないくらい胸がどきどきする。
加速するどきどきに、勝手に恥ずかしくなって皐月くんから逃げるように「皐月くんは何味がいい?」なんて言って冷凍庫へ向かおうとした。
「え、ちょっと、皐月くん……?」
「……」
けれど、立ち上がろうとした瞬間腕を引かれた私は尻もちをついて後ろから皐月くんに抱きしめられた。
「皐月くんどうしたの?」
「……」
お腹と首に回った皐月くんの腕にぎゅっと力がこもる。
ふわりと香ったお酒の香りに、そういえば皐月くんご飯の時にお酒飲んでたななんて思い出して、赤くなってたのも、こんなことをするのも酔ってるからかなんて、ちょっぴり胸が痛くなった。