オトナだから愛せない
「頭の中お前でいっぱい」












「胡桃、電話鳴ってる」

「え、」




夜、皐月くんの家で一緒にご飯を食べ終え、食器を洗っていればリビングから皐月くんの不機嫌な声音に責められた。




「誰?杉野って?」

「クラスメイト」

「もしかして、前に雨の中一緒に帰ってきたり、泊まりの勉強会誘ってきた奴か?」

「そうだよ!皐月くんよく覚えてるね」

「(俺の敵を忘れるわけないだろが)」




濡れた手を拭いてリビングへ戻りスマホを見れば杉野くんからの不在着信。画面の上で指を滑らせる私の隣で皐月くんはなぜかご機嫌ななめで。




「電話するのかよ」

「え?」

「その杉野って奴に折り返しするのかって聞いてんだよ」

「しないよ、これ送っただけだよ」




このままでは私は皐月くんに睨み殺されそうなのでスマホの画面を有名時代劇の名シーンのように皐月くんに突き出す。



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