オトナだから愛せない
「なに、その言い方?」
「え、」
「俺に早く家に帰れって?」
「だって、そんなびちょびちょだったら本当に風邪ひいちゃうし」
「でも、俺は用事があってここに来たんだけど」
「なに?」
そう問えば皐月くんはなにも答えることなくズカズカと私を押して家の中に入ってきた。え、不法侵入罪ですよ……。
「ねぇ、皐月くん本当にどうしたの?」
「……」
「なにかうちに忘れていってるものあったっけ?」
「……」
「ねぇ、」
はいでました。皐月くんの必殺技、その名も無視。まるで私を空気のように扱うこの技、効果は抜群だ。胡桃はこのターン心が傷ついて動けない。
リビングの電気をつけた皐月くんはベージュ色の引き出しの中から上下黒のスエットを取り出した。
「着替えるから自分の部屋行ってて」
「……どうしてここで、着替えるの?」
「いいから、早く」
「……」
次のターン、皐月くんの攻撃、追い払う。冷たい言葉で相手を追い払いそれ以上の質問をさせない。胡桃はこのターン追い払われたので攻撃できない。
なんて、強敵なのでしょうか。
言われた通り自分の部屋に戻りベッドの中に潜り込んだ。と、再び雷のゴロゴロする音が聞こえてきて思わず体が震える。