オトナだから愛せない




なんで?って聞いたら彼女はきっと、




「なんで、見ず知らずの俺にそんなに優しくするんですか?」




見返りなんて、そんなもの望んでいない。多分バカがつくくらいお人好しで純粋で、優しくて、一生懸命なんだと思う。




「なんでって、だってお兄さんをあのままひとりにしたら大丈夫じゃなさそうだなって思ったので」

「あんた、変わってるね」

「あ、もしかして、バカにしてます?」

「してないですよ」




ただ、俺にはちょっと眩しすぎて、風邪を引いたってこの歳にもなれば自分でなんとかするのが当たり前で、こんなに心配してもらったのは子供の時以来でどうしていいのか分からなくなる。




「そんなことより、おにぎり食べられますか?」

「せっかくなので、いただきます」




慌てた様子で差し出された、しゃけとおかかのおにぎり。彼女の手からおかかのおにぎりを受け取り封を開けた。



熱をだして、知らない女性と駅のホームでおにぎりを食べる日が来るなんて思ってもみなかった。


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