文の幸福
門限を聞けば十時だが、いつも九時には家に帰って十時には寝るらしい。
まだ身長を伸ばす努力を捨てられないそうだ。
こうやって話していると文は普通に楽しい。
この二日間、文は魔性で極妻なんじゃないかと頭の中で拭くらんでいたけれど、全然普通。
普通じゃないのはオレなのかも知れない。
会話をしてるだけなのに、ブラウスの上からでもわかる細い肩が気になる。
じっと、文の肩を見ながら、話をしていると、
「仁?私の肩なにかついてる?」
「違う、肩細いなーと思って」と思わず本音を言ってしまう。
「そう?そうでもないよ?みたい?」と聞いてきた。
思わず動揺してしまう。
すると、文が耳元に近づいて、
「二人の時なら噛んでもいいよ」
と言ってきた。
文の手をとって、また、本棚の裏の倉庫に行った。