文の幸福
15
・仁side


今日は水泳の大会。

二学期の始まった文は、学校が終わったら応援に来てくれるらしい。
正直、水泳なんてストレス発散の手段でしかないから、大会なんて出なくていいが、一応親父との約束もあるから、この大会で終わらせたい。

何か一つタイトルをとれば終わりだ。

普段から、物欲が無いからお金は使わないが、さすがに大学費用の負担をかけられるのは辛い。

タイトル一つでクリアできるなら、がんばるしかない。

ただ、気になるのが、殆どが大学生だから、文のナンパが心配だ。

来なくて良いと言ったが、”仁の泳ぐ姿が見たい!”なんて可愛い事言われたら、断れない。

気になりながらも、三回戦」をちゃんと一位抜けしたから、次は決勝だ。

時間まで、会場の入り口でウロウロしていると名前を呼ばれる

「仁。」

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