Violet Detective
東さんが驚く。たしかに私は、I.Qが平均よりうんと高い。だが右京さんのような態度を人にとったことはないので、そこだけは誤解しないでほしい!

「人の目の色は、遺伝性の身体的特徴だ。人の目のバリエーションは、虹彩の中のメラニン細胞が作り出すメラニン色素の割合によって決定される……」

右京さんは私の目を見つめながら言った。

「紫の目は、世界で二%の出現率が低い緑眼よりも珍しいと言われている。限りなく赤に近いブラウンとブルーの色の混合反射で作られる珍しい目の色だ」

まるで芸術作品だ、と右京さんは私の目をじっと見つめ続ける。私は恥ずかしくなって顔をそらそうとするが、右京さんは素早く私の顔を掴み動かないように固定する。

私は、この目が嫌いだ。日本人なのに、日本人じゃない色を持っている。人と違う。人は醜い生き物だ。自分と少しでも違えばその種族を差別する。私はその差別を受ける側だった。

「……蘭ちゃんは、日本人の目の色は何色だと思う?」

東さんが突然質問をしてきた。私は考える間もなく、「黒です!」と答えた。
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