Violet Detective
埃まみれの店内を、三人でくまなく探す。日が暮れて店内が暗くなり始めたら、スマホのライトを使って探す。

「何もないなぁ」

東さんが呟く。たしかに三人で店内を探しても、何も怪しいものは見つからない。

「そうですね……。一体、このメールは何だったんでしょうか……」

私も表情を少し暗くする。せっかく事件が解決するかと思ったのだが……。

事件を一から振り返る。パーティーに招待されて、パーティー会場でペトラと話した。そして、朱美と寺井の話を聞いて、マジックが披露されるところでーーー。

「そういえば、マジックをする前にバラを配っていましたよね。途中から赤いバラがなくなって、色が変わって……」

「……色、か……」

私の言葉に、右京さんが頭に手を当てて考え込む。記憶を振り返っているようだ。

サヴァン症候群の右京さんは、記憶をまるで映画のように再生することができる。そしてそれはとでも正確なもの。
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