無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「う、うん....。ありがとう、桜雅くん」
そんな桜雅くんに、これ以上心配をかけたくなくて、口の端をあげて笑顔をつくる。
「....手、震えてる」
桜雅くんは私の瞳をじっと見つめながら、ガタガタ震える私の両手をやさしく包みこんだ。
その手は、驚くくらいに温かい。
....やさしいひとの手が冷たいって、うそだと思う。
「な、んで....?」
────ちがう、べつにあの男の人たちが怖かったわけじゃない
じゃあ、私はなにに対して、''恐怖''を感じているの....?
「っあの、私、は....っ」
「....ん、分かってる。なんにも言わなくていい」
眉の間に寄せていた皺をきゅっと解いて、やさしく下がる目尻。
....こんなにやさしい顔、するんだ。
桜雅くんは震える肩に手をおいて、頭をぽんぽんと撫でてくれる。
「....ありが、とう」
たしかな温もりを纏ったその仕草に、心がほどけていく。