無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「どうするの、そいつ」
口元は笑みを称えたまま、瞳だけが冷ややかに細められる。
いつも丁寧な口調の由良くんだから、放たれた''そいつ''に違和感を感じて、思わず二度見してしまう。
「(怒って....)」
冬哉くんも冷たい視線を香山に向けていて、雰囲気もいつもより尖っているように見えるのは、気のせいだろうか。
「っ、ガキ共が出しゃばってんじゃねえ....!っおれに、俺にはソイツを傷つける権利があるんだよっ」
律くんによって床に押さえつけられている香山が、イラついたように喚く。
下からぶつかる、嫌悪感に溢れた鋭い瞳。
....このひとは、どれだけ私のことが嫌いなんだろう。
私が、なにをしたと言うんだう。
''お前を傷つける権利がある''、八年前にも言われた言葉が、胸の浅い内をかするみたいにえぐって、抜けていく。
....でも、もう八年前とは、ちがう。
逸らしたくなる衝動を抑えて、真っ黒な瞳に、瞳を合わせる。
あのときは見上げることしかできなかったモノを、振り切ることができる。
「あなた、っに、私を傷つける権利なんて、あなたにない....っ」
────8年前、言えなかったことを、伝えることができる