無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる








「行ってきます!」


「行ってらっしゃい。お母さんたちも後で行くからね~」



ドアを開ければ、春のやわらかい風が頬をくすぐった。


ふわり、と何かが頭の上におちてきて、''それ''を目にした瞬間、私は頬を緩ませた。



──────家の前の公園に構える、大きな桜の木



風が吹くたびに、花びらが揺れるその風景は、まるで映画のワンシーンのようで。



「綺麗だなあ、」


満開の桜を見ながら、ふと見惚れしまう。


満開の花を募らせて、花びらがふわふわ舞う────そんな景色が見られるから、私は春が好き。


自分の名前に''桜''が入っているし、小さい頃からいちばん好きな花は桜。



「み~お!おはよう....!」


すると、後ろからポンッと肩を叩かれ、その声に振り返ってみれば。


「おはよう、悠莉」


柔らかい笑みを浮かべる彼女、岬悠莉(みさき ゆうり)が立っていた。



< 5 / 430 >

この作品をシェア

pagetop