無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。お母さんたちも後で行くからね~」
ドアを開ければ、春のやわらかい風が頬をくすぐった。
ふわり、と何かが頭の上におちてきて、''それ''を目にした瞬間、私は頬を緩ませた。
──────家の前の公園に構える、大きな桜の木
風が吹くたびに、花びらが揺れるその風景は、まるで映画のワンシーンのようで。
「綺麗だなあ、」
満開の桜を見ながら、ふと見惚れしまう。
満開の花を募らせて、花びらがふわふわ舞う────そんな景色が見られるから、私は春が好き。
自分の名前に''桜''が入っているし、小さい頃からいちばん好きな花は桜。
「み~お!おはよう....!」
すると、後ろからポンッと肩を叩かれ、その声に振り返ってみれば。
「おはよう、悠莉」
柔らかい笑みを浮かべる彼女、岬悠莉(みさき ゆうり)が立っていた。