晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
「鍵、返して。」

私は立ったまま言った。

「とりあえず、座れよ。ほら。」

智也は、私の手首を掴んで、強引にソファーに座らせた。

「鍵、返して。
 鍵があるからって、別れた女の部屋に勝手に
 入るなんて最低よ。」

「なぁ、晶、本当にあんなおっさんと
 付き合ってるのか?」

はぁ!?

智也は私の話は無視して尋ねてくる。

「智也には関係ないでしょ。
 ほっといてよ。」

おっさんって何よ。
失礼ね!!

「晶、俺と結婚したかったんだろ?
 俺たち、やり直さないか?」

「は!?」

何、言ってるの?

「俺さぁ、子供できたから、雪菜と結婚した
 けど、やっぱり晶と一緒の方が居心地いいん
 だよね。
 お前が、あのおっさんと二股かけてたことは
 水に流してやるから、やり直そうぜ。」

智也は、シレッと私の肩を抱いてくる。

「はぁ!? 何、言ってるの?
 二股かけてたのは、智也でしょ?
 だいたい、結婚したくせに、何
 言ってるのよ。」

私は、即座にその手を振り払った。

「俺は、雪菜に言い寄られて仕方なかったん
 だよ。
 雪菜には内緒にするからさぁ。」

ありえない。
気持ち悪い。
私、なんでこんなやつのこと、好きだったんだろう。

「結婚したなら、一生、雪菜と
 添い遂げなさいよ。
 浮気とか二股とか、許されるのは独身の
 間だけなんだからね!!」

私がそう言い捨てて立ち上がろうとすると、再び手を掴まれて、無理矢理ソファーに座らされた。
< 48 / 95 >

この作品をシェア

pagetop