晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
降りしきる雨の中、小さな折り畳み傘に大人2人が入って歩く。

歩くたびに、肩が傘を持つ課長の腕に当たり、なんだか意識してしまう。

今まで課長を意識したことなんてなかったのに。


ふと気づくと、小さな折り畳み傘に2人で入ってるはずなのに、私はほとんど濡れていなかった。

代わりに、課長は反対側がぐっしょりと濡れている。

私は、慌てて私の方に傾いている傘の柄を課長の方へ押した。

課長は驚いたように私を見て、

「俺は大丈夫だから。」

と微笑んだ。それでも私は、課長だけを濡らす気にはなれなくて、

「いえ、それじゃ一緒に帰る意味が
ありませんから。」

と傘の柄をやっぱり課長の方へ押し返した。

すると課長は嬉しそうに笑って、

「じゃあ、こうしよう。」

と傘を左手に持ち替えて、右手で私の肩を抱き寄せた。

えっ!?
いや、なんで?
いや、この方がお互い濡れないのは分かるけど、これはさすがに…

固まってしまった私は、歩き方もぎこちなくなる。

課長はそんな私を見て、くすっと笑みをこぼし、
「これなら、さっきほど濡れないだろ。」
と私の顔を覗き込む。

私は、恥ずかしくて課長の顔を見られなくて、でも、どこを見ていいかも分からなくて、目を泳がせる。

どうしよう。
ドキドキが止まらない。

たかが10分の道のりが、とてつもなく長く感じた。
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