秋の魔法



10月15日。僕と先輩の誕生日がやって来た。僕は久しぶりに図書館へ。

「あ、秋羽!」

「先輩、来ていたんですね…」

僕は微笑んだ。恐らく父が家に居なくなったので心に少し余裕が出来たのだろう。

先輩は嬉しそうに笑い、僕の前に近寄ってくると「tanti auguri!」と言った。

イタリアで「お誕生日おめでとう」と言う時に使われる言葉だ。

「Grazie」

僕はイタリア語で「ありがとう」と返す。なぜ、ここでイタリア語が出てきたかというと、僕はイタリアに興味があるから。イタリア語にも興味がある。

そのことを僕は先輩に言ったことがある。先輩は、地理とか世界のことは苦手なのだそう。それでもいつ見ても先輩のテストの点数は高い。

「Mi piace anziano(私は先輩が好きです)」

「Grazie.Ti voglio bene!(ありがとう。あなたが大好きです!)」

僕は微笑んだ。ふわりと紅葉が舞い、僕らの顔を秋色に染めていくかのように風に揺られて落ちた。
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