あなたの隣で、その約束を。


お城の城壁に隠れるようにそこにそびえ立つ一本の木が、“私達”の集合場所だ。


集合場所へと近づくと、一本の木に寄りかかる影が落ちていた。


「ルーカ」



そっとその名前を呼ぶと、ピクッと私の声に反応した獣耳が小さく揺れた。


兵見習いのくたびれた服だというのに、いつもかっこよく着こなすその後ろ姿。


腰に構えた手入れの行き届いた剣が、夕日の光を反射させた。



「リルナータ様」



振り返って私の姿を捉えた、エメラルドグリーンの瞳。


癖のある、でも柔らかいチョコレート色の髪は訓練をしてきたせいかいつもより乱れている。


優しい声は私の心を包み込み、頬を撫でるようで。


思わず笑みを浮かべて、私はルーカの隣へと駆け寄った。



「遅くなってごめんなさい。待った?」


「いいえ。私も今さっき訓練を終えて来た所ですから」


「んもう。二人きりなんだからかしこまって話さないで」


「はは。ごめん」



ふっと笑いながら、ルーカは私の手を取りリードしながらお城の奥に広がる小さな森へと足を運ばせる。


森を抜ければ私達二人だけの秘密の場所である、国を一望できる丘へと辿り着く。






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