異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「異世界に来るまでは、お母さんがいなきゃ夢はもう叶えられないような気がしてたんだ。私の夢はランチワゴンをすることじゃなくて、お母さんと一緒に働くことだったから」
「今は? やっぱりお母さんがいないと……」
「ううん、それがね。自分のお弁当を食べてもらって異世界の人たちが笑顔になったとき、心が満たされたような気がしたんだ。エドガーたちと旅してるのも、すごく楽しくて……」
私の夢が少しずつ形を変えている気がする。明確にどこが、とは言えないけれど、とりあえず動いてみたのはよかったのかもしれない。
私は視線を空から隣にいるエドガーに移すと、はっきり伝える。
「うまく言えないんだけど、止まったままの時間が動き出した……みたいな、そんな気がする」
「そっか、いいほうに向かってるならよかった」
エドガーの包み込むような眼差しを受けた私は、ランチワゴンの整備で真っ黒になったその手を両手で握る。
エドガーは「汚れるよ!」と、慌てて手を引っこ抜こうとしたけれど、私は構わず言葉を続ける。
「そう思えるようになったのも、エドガーたちのおかげだよ」
「それを言うなら俺だって雪と出会って、人から『ありがとう』って言われる発明ができるようになった。 ああ、俺……発明家として必要とされてるんだって、最近はそう思えるようになったんだ」
エドガーは一度、繋いだ手に視線を落としてから再び私の顔を見つめる。
「今は? やっぱりお母さんがいないと……」
「ううん、それがね。自分のお弁当を食べてもらって異世界の人たちが笑顔になったとき、心が満たされたような気がしたんだ。エドガーたちと旅してるのも、すごく楽しくて……」
私の夢が少しずつ形を変えている気がする。明確にどこが、とは言えないけれど、とりあえず動いてみたのはよかったのかもしれない。
私は視線を空から隣にいるエドガーに移すと、はっきり伝える。
「うまく言えないんだけど、止まったままの時間が動き出した……みたいな、そんな気がする」
「そっか、いいほうに向かってるならよかった」
エドガーの包み込むような眼差しを受けた私は、ランチワゴンの整備で真っ黒になったその手を両手で握る。
エドガーは「汚れるよ!」と、慌てて手を引っこ抜こうとしたけれど、私は構わず言葉を続ける。
「そう思えるようになったのも、エドガーたちのおかげだよ」
「それを言うなら俺だって雪と出会って、人から『ありがとう』って言われる発明ができるようになった。 ああ、俺……発明家として必要とされてるんだって、最近はそう思えるようになったんだ」
エドガーは一度、繋いだ手に視線を落としてから再び私の顔を見つめる。