異世界ニコニコ料理番～トリップしたのでお弁当屋を開店します～

「 うわあああああ！？」


車内にはオリヴィエの悲鳴が響き渡っている。

それもそのはず、オリヴィエの最短ルートは登りと下りが激しい凸凹道で普段は町民ですら通らない険しい山道だったのだ。

おかげでランチワゴンはガタガタと縦に横に大きく揺れ、シートベルトもないので身体が車内のあちこちにぶつかって痛い。


「し、試験を受ける前に死にそうだ……」


ロズベルトさんの生気のない声を聞きながら、私は車内の心もとない手すりにしがみつく。


「スリルがあっていいじゃねえか！　ひゃっほーい！」


この状況で楽しめているのは、ランディだけだ。

道はどんどん狭まっていき、エドガーが「くっ……掴まって！」と叫んだ瞬間、ランチワゴンの端が木にぶつかる。

エドガーは制御できないハンドルを力づくで切り、ランチワゴンは盛り上がった木の根に乗り上げるような形で停止した。

ふうっと息をついたエドガーは、申し訳なさそうに私たちを振り返る。


「皆、ごめん！ 人影が見えてとっさに避けようとしたら、木を避けられなくて」

「人影だと？　この道は町の人間ですら滅多に通らないと聞いていたが……」


不自然に言葉を切ったバルドの視線は窓に向く。