異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「今日、隣町の港で航海士の受験がありますよね。その受験生の数人が同じ受験生に嘘の試験会場を教えられて、試験を受けられていません」
「ええっ、すぐに確認いたします」
慌てた様子で窓口のお姉さんは部屋の奥へ走っていくと、代わりに強面の五十代くらいの男性が私たちのところにやってくる。
「初めまして、私は各資格登録責任者をしております。お話は先ほど、窓口の者からお聞きしました」
「なら、話は早い。彼らに再試験を──」
「ですが、試験場所をきちんと把握していなかったのは受験生自身の責任です。よって、こちらでできることはなにもございません」
エドガーの言葉を遮って、役所の男性は救済措置はないと突っぱねてくる。
あまりにも冷たい対応に絶句していると、隣にいたエドガーが一歩前に出る。
「ただ、試験場所を把握していなかったのであれば、受験生自身の責任になるのもわかります。でも、問題を起こした受験生はならず者を雇い、実際に受験生を襲わせています」
「なっ、ならず者を……?」
目を剥く役所の男性に、エドガーは「はい」と強い言葉で説得を続ける。
「そこまで念入りにライバルである受験生を蹴落とすような人間です。嘘も巧妙だったに違いありません」
「……そうでしたか、自体は想像より深刻なのかもしれませんね」
「ええ。 そしてその責任は、そのように素行の悪い者に受験資格を与えた役所にもあるのでは?」
いつもの温厚な彼からは想像できないほどの威圧感を纏い、きっぱりと言い切る。
痛いところを突かれた役所の男性は苦い顔をして「返す言葉もありません」と頷いていた。
「今日試験を受けられなかった受験生には再試験を受けられるように手紙で知らせを出しましょう。虚偽の情報を流した受験生に関しては、問答無用で失格にします」
騙された受験生たちが報われるよう手配がされ、やるべきことを終えて役所を出た私たちは自然と向き合う。
「ええっ、すぐに確認いたします」
慌てた様子で窓口のお姉さんは部屋の奥へ走っていくと、代わりに強面の五十代くらいの男性が私たちのところにやってくる。
「初めまして、私は各資格登録責任者をしております。お話は先ほど、窓口の者からお聞きしました」
「なら、話は早い。彼らに再試験を──」
「ですが、試験場所をきちんと把握していなかったのは受験生自身の責任です。よって、こちらでできることはなにもございません」
エドガーの言葉を遮って、役所の男性は救済措置はないと突っぱねてくる。
あまりにも冷たい対応に絶句していると、隣にいたエドガーが一歩前に出る。
「ただ、試験場所を把握していなかったのであれば、受験生自身の責任になるのもわかります。でも、問題を起こした受験生はならず者を雇い、実際に受験生を襲わせています」
「なっ、ならず者を……?」
目を剥く役所の男性に、エドガーは「はい」と強い言葉で説得を続ける。
「そこまで念入りにライバルである受験生を蹴落とすような人間です。嘘も巧妙だったに違いありません」
「……そうでしたか、自体は想像より深刻なのかもしれませんね」
「ええ。 そしてその責任は、そのように素行の悪い者に受験資格を与えた役所にもあるのでは?」
いつもの温厚な彼からは想像できないほどの威圧感を纏い、きっぱりと言い切る。
痛いところを突かれた役所の男性は苦い顔をして「返す言葉もありません」と頷いていた。
「今日試験を受けられなかった受験生には再試験を受けられるように手紙で知らせを出しましょう。虚偽の情報を流した受験生に関しては、問答無用で失格にします」
騙された受験生たちが報われるよう手配がされ、やるべきことを終えて役所を出た私たちは自然と向き合う。