異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「具体的にどれほどの食料を送る必要があるのか、息子とふたりきりで話がしたい。お前たちは外に出ていろ」


エドガー以外の人間を外に追い出そうとする国王に胸騒ぎがした。

私は守衛の兵に王間の出口へと押されながら、「エドガー!」と名前を叫ぶ。

すると、エドガーは「大丈夫だよ、すぐに戻るから」と安心させるように笑って、私に頷いてみせた。

なす術なく王間から追い出された私たちは、守衛の兵に「ここで待っていなさい」と言われ、どこかの一室に閉じ込められる。

皆で円になるように立つと、ランディが最初に口を開いた。


「しっかし、あいつら本当にエドガーの家族かあ? 体型から顔から、エドガーに似てねえじゃねえか。誰の遺伝子を受け継いだら、エドガーだけあんな美男に生まれんだよ」

「ランディ、今はそんなふざけた話をしている場合ではない。だが、あのような傲慢な親の元で育ちながら性根が曲がらなかったのは、エドガーにもともと国王としての素質があったからなのだろう。あいつにはどこか、シャルル国王の面影を見る」


バルドはむしろ納得した様子で、エドガーが王子であることをすんなり受け入れていた。


「エドガーが王子であろうが、どうでもいいです。そんなことよりあの国王、なにか企んでいませんか?」

「オリヴィエ、私もそう思う。あの人たち、お金のためにエドガーを危険なベルテン帝国に婿に行かせようとしたんだよ? それに、誰かのために発明をしたいって言ったエドガーのことを出来損ないって言った」


エドガーが自分にはなにもないと蔑んでいたのは、お父さんにそう言われて育ったからなのではないか。

そう思ったら、エドガーを〝出来損ない〟と言った国王に無性に腹が立つ。


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