異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「なに、これ……」


問うまでもなくお別れの手紙だということは頭では理解していたけれど、昨日までいつもと変わりなく一緒にこの町の人たちのために働いていたのだ。


どうして、直接言ってくれなかったの?


役目とは発明家としてなのか、王子としてなのか、どちらなのだろう。

本当にエドガーが望んでこの国に留まるのかどうか、私にはわからないことばかりだ。

このまま、「はい、そうですか」ってお別れできるわけがない。

エドガーはなにもわかってない。

そんな簡単に繋がりを切れるほど、私たちは浅い関係じゃないはずだ。


「確かめに行かなくちゃ」


手紙を握りしめると、エプロンを脱いでランチワゴンを飛び出す。

エドガーが身を寄せるとしたら、きっと自分の家である城だ。

私は町の人に頼んで馬車を出してもらうと、エドガーがいるだろう城まで向かうのだった。

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