異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
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私たちは城の食料庫から食材をランチワゴンに運び、ロドンの町に戻った。

私とロキは炊き出しを行い、他の皆は雪かきをしたり壊れた家々の修理をしたりと町の復興を手伝った。

そのための資金は領主のモナド様から支援してもらえたので、二週間後にはなんとか人が生活できるまでになった。


「ここまで来れば、あとは私のほうでなんとかできます。皆様方、本当にありがとうございました」


公務があるのに町に足を運んで積極的に復興を手伝いに来ていた領主のモナド様が私たちに頭を下げてくる。

こうして、役目を終えた私たちはロドンから立つことになった。

出発の朝、私は宿で休んでいる皆の朝食を作るためにランチワゴンのキッチンに立ったのだが、そこに一通の手紙があることに気づく。

封筒を開けると【雪へ】と書かれていて、差出人を見るとエドガーであることがわかった。

私は立ったまま文に目を走らせる。

そこには【まず最初に、最後まで一緒に居られなくてごめんね。俺はこの国に残って、自分の役目を果たすよ。きみと出会えたことは、俺の人生の中で一生の宝だ】と綴られていた。


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