異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「あの国はきっと魔法に守られているんだろう。実際、ユグベルランドの住人には不思議な力があると聞く」
「それが目的で、この人は縁談を受けたのよ。ユグベルランドは長らく鎖国していたから、外の風を取り入れようとこの国に縁談を申し込んできたのね。でも、この人の魂胆に気づいていたジゼル姫は逃げ出した」
王妃様の呆れるような視線を受けた国王は気まずそうに咳払いをして、「だいぶ話が脱線したが」と無理やり話を変える。
「この本にユグベルランドの紋章があることには驚いたぞ。娘、お前は本当にユグベルランドの出身ではないのか?」
「違います!」
私は地球生まれの生粋の日本人だ。
魔法の力なんて使えないし、ただの料理好きな人間。それ以外の何者でもない。
「ですが、異世界から来たあなたがこの世界のレシピ本を持っているだなんて気になりませんか?」
私の事情を知らない国王たちに聞こえないようにするためか、オリヴィエが小声で耳打ちしてくる。
「それは……確かに気になるけど、まさか関係ないって。だってお母さんは日本人のはず……」
そこまで言いかけて気づく。
お母さんのことで知っていることといえば、兄妹も親もいない天涯孤独な人だったということだけ。
どうやってお父さんと出会ったのかも、聞いたことがなかった。
だから関係ないと断言できる情報を、私はなにも持っていないのだ。
「それが目的で、この人は縁談を受けたのよ。ユグベルランドは長らく鎖国していたから、外の風を取り入れようとこの国に縁談を申し込んできたのね。でも、この人の魂胆に気づいていたジゼル姫は逃げ出した」
王妃様の呆れるような視線を受けた国王は気まずそうに咳払いをして、「だいぶ話が脱線したが」と無理やり話を変える。
「この本にユグベルランドの紋章があることには驚いたぞ。娘、お前は本当にユグベルランドの出身ではないのか?」
「違います!」
私は地球生まれの生粋の日本人だ。
魔法の力なんて使えないし、ただの料理好きな人間。それ以外の何者でもない。
「ですが、異世界から来たあなたがこの世界のレシピ本を持っているだなんて気になりませんか?」
私の事情を知らない国王たちに聞こえないようにするためか、オリヴィエが小声で耳打ちしてくる。
「それは……確かに気になるけど、まさか関係ないって。だってお母さんは日本人のはず……」
そこまで言いかけて気づく。
お母さんのことで知っていることといえば、兄妹も親もいない天涯孤独な人だったということだけ。
どうやってお父さんと出会ったのかも、聞いたことがなかった。
だから関係ないと断言できる情報を、私はなにも持っていないのだ。